株式会社グレープ・ワン

時代の最先端!ローカル5Gにおけるシステム運用監視とは?

株式会社グレープ・ワン
  1. 株式会社グレープ・ワン
  2. 情報通信業
  3. 主にケーブルテレビ事業者向けに無線サービスにおける基幹システムとなる無線コアネットワークを構築し、回線サービスを提供するとともに、基地局や端末の販売・運用・保守など 総合的にサービス提供を行うことで、事業者の設備投資や運用面での負担を軽減し、ローカル5Gの普及を推進しております。

インタビュー:株式会社グレープ・ワン 情報推進室 室長 兼 技術部 副部長 兼 オペレーション部 副部長 大浦 正嗣

課題拡大を続けるローカル5Gの運用・監視の体制強化が急務

御社の事業内容について教えて下さい。

大浦:弊社はローカル5Gの導入において必要な機器の販売や、基地局の運用・保守監視を実施することで各事業者様のご負担を減らし、ローカル5Gサービスの普及を推進しております。

大浦様のチームは、社内でどのような役割を担われているのでしょうか?

大浦:私の所属する技術部及びオペレーション部では、各事業者様からご発注いただいた際の、導入時における設計・設定から運用・監視を主に担当しております。

当社製品「パトロールクラリス」をご検討された背景や課題について教えてください。

大浦:ローカル5G製品は、日本国内では製造メーカーがほぼ無いことより、弊社でも海外メーカーのローカル5G製品で展開しておりますが、海外製品を取り扱うにあたり、監視の観点で2つの課題がありました。

1つめはユーザビリティです。海外のローカル5G製品にも専用の監視ツールは存在しますが、国内のシステム監視製品と比較すると見易さ・使い易さ・管理のし易さが大きく劣っていました。

2つめは、手間や人的コストの観点です。
前述した専用監視ツールには例えば、閾値の設定や各種アラートの要・不要といった細かく設定する部分がなく、メーカーが用意したテンプレートのみを利用することになるのですが、アラートが出たとしても、人が一見してすぐに分かる内容が表示されていません。
何かしらの不具合が発生している事実はわかるものの、どこでアラートが発生しているのかは、人が各機器に手動でログインし、複数のコマンドを打つ必要があり、何が起きているのか把握する為の1次切り分けが完了するまでにかなりの時間を要していました。

弊社から海外メーカーにむけて機能追加の開発要望を出すことも検討したのですが、言語の壁はもちろんのこと、考え方がそもそも違うので、機能の必要性がなかなか伝わりません。多くの日本人の場合、障害発生時には「詳細を把握し、適切に対処をした上で、次回以降の障害を未然に防ぐ為、障害発生原因の追究・抑制・削減を考える」というのが一般的な考え方だと思われますが、海外の人からすると「再起動すれば良い。画面を常時見続ければ良い。以上。」という考え方が多い為です。

以上2つの背景・課題から、これから機器数も事業者数も拡大するローカル5Gを取り扱うにあたり、運用・監視の手が回らなくなる可能性を感じていましたので、至急導入できる「痒い所に手が届く」国産のシステム監視製品を探し始めたという経緯になります。

導入理由ユーザビリティ、監視性能、運用改善の観点で評価

数ある国産システム監視製品の中から「パトロールクラリス」を採用された理由はどういった点だったのでしょうか?

大浦:採用理由は3つあります。

1つめはユーザビリティの面です。パトロールクラリスは、画面構成がわかりやすく、設定も簡単であるということを検証で実感しました。また、パトロールクラリスを使っていて疑問点があればサポートの方に質問させていただくのですが、毎回的確な答えを返していただき、疑問点が明瞭に解決されるのも良いです。更に営業担当の方もとても親切で、サポート返答に遅れがあった場合でもサポートの方との間に入り、適切な処理をして頂けました。

直感的でわかりやすい画面構成。

▲ 直感的でわかりやすい画面構成。

2つめに、監視性能における柔軟性の高さです。
弊社で取り扱う海外のローカル5Gの製品はSNMPプロトコルを採用しておらず、Netconfプロトコルを用いて、機器内部の監視を行うという作りになっており、調べたところ、Netconfプロトコルに対応している国産の監視製品はほぼありませんでした。

そのため、各種コマンドを機器内部に打ち込んでデータを引き出す独自で作ったスクリプトで整形をしており、そのデータを既存の監視製品に連携させる際に、どの製品が容易に対応可能かを複数の製品で検証したところ、パトロールクラリスのPOST監視だと容易かつ詳細な監視を実現できることが分かりました。
現在では、ローカル5Gの各基地局の先にある無線装置から正常に電波が発射されているのかを示す数値の取得や、各無線装置毎の通信量などをPOST監視で取得し、閾値による一見して分かり易いアラートを送信しています。今後は他に取得出来るエラー数やその他の各種数値もPOST監視で取得する事で、更に効率よく監視が出来る様、準備をすすめています。

また、監視設定においてエージェントを入れずに監視できることも重要でした。基地局にエージェントを入れることで、本来の電波発射に必要となる機能に影響が発生し、必ずしも正しい動きにならなくなる可能性も考えられた為、エージェントレスで実現出来ることは非常に有難かったです。

3つめに通知手段の豊富さです。
特に、Slack通知が大変使いやすいです。動作検証中、障害発生時はメールで通知していましたが、パトロールクラリスにはSlack通知が標準で搭載されていた為、本番導入と同時にメール通知と並行して使ってみた結果、メール通知と比較して、チーム内での情報共有やアラートへの対応レスポンスが向上し、運用のブラッシュアップにも繋がりました。

標準で搭載されているSlack通知により情報共有やアラートへの対応レスポンスが向上

▲ 標準で搭載されているSlack通知により情報共有やアラートへの対応レスポンスが向上

他社製品も検証されたとのことですが、パトロールクラリスと比較した際いかがだったでしょうか?

大浦:他社製品の場合、WEBサイト上では「容易に実現可能」と謳われていても、実際に触ってみると弊社が求める監視機能を実現する為には、そう簡単には実現出来ず且つ、視覚的な表現機能にも想定との誤差がありました。
また、運用の為の管理画面においても分り辛い部分があり、社内の監視チームに任せる際、容易に運用できないかも知れないという不安がありました。パトロールクラリスは管理画面や操作方法がわかりやすくマニュアルも充実していた為、監視チームにも安心して任せられると感じました。

管理機能でよく使われている機能はありますか?

大浦:よく使っているのはカスタムグラフ機能ですね。利用している監視項目は全てグラフ化しています。
あとはマップ機能を使っています。監視端末を接続線でつないでマップにしており、障害が発生した場所や範囲の特定に於いて、即時視覚的に分かるようにしています。 また、レポート機能は現時点では社内で参考資料として出す程度に留まっていますが、将来的には「今月の監視結果」のようなかたちでレポートを各事業者さんにお見せしていきたいと思っています。

導入効果「電波の見える化」により
アラート対応の大幅な時間短縮を実現

パトロールクラリス導入後の効果として実感されていることはありますか?

大浦:導入後の効果として一番感じているのは、各機器が電波を正常に発射し続けているかどうか?がすぐにわかるようになったことや、長期に渡る過去ログとしての変動グラフや元数値を簡単に確認出来る様になったことです。
海外メーカー製のローカル5Gの基地局専用監視ツールには、無線装置による電波発射が停止したり、電波発射強度に大きな変動が発生した際にアラートをあげるという仕組みが実装されていません。
例えば、基地局の無線装置から発射される電波は宇宙空間にあるGPS衛星を用いて、時間を同期しつつ発射するのですが、まれにGPS衛星との同期接続が切れ、急に電波発射が止まることがあります。
そうなった場合、基地局側の電波発射する為のサービスプログラム自体は動いているが、無線装置からの電波発射は停止しているという状態となり、専用監視ツールは基地局側のサービスが動いているかどうかしか見ていない事より、アラートとしては発信されず、結局、基地局側のサービスプログラムが出す数値をCUI画面上で見るしかなく、パトロールクラリス導入前は人が24/365体制で画面に張り付いて見なければならない状態でした。
しかし、監視チームでは、ローカル5Gの設備以外にも様々な設備の運用監視を行っている為、ローカル5G関連のエラーが起きても気づく迄に時間がかかっていたので、パトロールクラリスの導入により大きな時間短縮や監視チームの工数削減につながっており、助かっています。

展望運用の自動化とサービスのブラッシュアップに向けて

最後に今後の構想や弊社に対するご要望があればお聞かせください。

大浦:パトロールクラリスの開発要望としては、是非、Netconfプロトコルを用いた監視機能の開発を前向きにご検討いただけるとありがたいです。
また、今後の構想では、運用業務の自動化及び、監視の一元管理による技術面・コスト面での改善を検討していきたいと思っています。
現在発生する障害の中には、基地局側のサービスプログラムや無線装置の再起動により、短時間で復旧できるものもあるので、障害ログの取得も含め、その時々の状況に応じ、極力自動化していきたいです。 改善面としては、今後における無線システムや無線機メーカーの取扱い数増加に伴い、メーカー特有の違う監視システムも増える為、これらの監視データを集約、一元管理し、技術面での統一化やコスト面での削減を行うことで、更なる改善に繋げていきたいです。

加えてまだパトロールクラリスのマップやレポート機能を使いこなせていないので、近い将来的には1つのマップに実際の地図を重ねつつ、載せる基地局の数を増やすことで視覚的にも運用の効率化を更に図り、前述の監視レポート機能により、ローカル5Gのサービスを行う各事業者様に定期的にご報告することで全体としてのサービスのブラッシュアップも図っていければと考えています。

本日はありがとうございました。頂いたご意見は弊社の今後の製品開発の参考にさせて頂きます。

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